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下痢

注意が必要な下痢症状

以下のような下痢の症状が現れている場合には、重篤な病気が関与している可能性があります。下痢は日常的な症状のため自己判断で放置されがちですが、病状が悪化する前にぜひ一度当院までご相談ください。

  • 食後30分~1時間経過すると激しい腹痛が生じる
  • 下痢とともに吐き気や嘔吐を併発する
  • 下痢とともに発熱症状を併発する
  • 下痢が1ヶ月以上継続している
  • 便に血が混じっている
  • 脱水症状を起こしている

など

下痢の種類・原因

一般的に下痢とは固形ではない柔らかい便の総称ですが、状態によって軟便、水様便、泥状便などに分類されます。

短期的な下痢(2週間以内に治るケース)

2週間以内に症状が治まるような短期的な下痢は、感染症や食中毒などが原因である場合が多いです。
これらが原因で腸から過剰な水分が分泌されることで便が柔らかくなり、下痢症状を発症します。

長期的な下痢(1ヶ月以上続くケース)

浸透圧性下痢

浸透圧性下痢とは、腸内の浸透圧が上昇することで腸内の水分量が上昇することで引き起こされる下痢です。
主な原因は脂肪分の多い食事や過度な飲酒、寝冷えなどの生活習慣の乱れが挙げられます。

滲出性下痢

滲出性下痢とは、腸が何らかの原因によって炎症を起こし、細胞や血液から腸へ水分が流入することで引き起こされる下痢です。
主な原因は、感染症や潰瘍性大腸炎、クローン病などが挙げられます。

蠕動運動性下痢

蠕動運動性下痢とは、腸が過剰に蠕動運動を起こすことで食べ物の水分を十分に吸収できないまま肛門へ送られてしまうことで引き起こされる下痢です。
主な原因は、甲状腺の病気や過敏性腸症候群(IBS)などが挙げられます。食事習慣を改善することで症状を和らげることができます。

下痢の原因となる病気

下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)

いわゆる最も一般的な下痢症状で、日本人の約10%が発症しているという報告もあります。主な原因はストレスなどの心因的要因や消化の悪い食べ物・刺激の強い食べ物の過剰摂取などが挙げられます。発症すると下痢や腹痛が長引くことがありますが、検査しても特に問題が見つからないケースが多いです。

過敏性腸症候群は、以下のRomeⅣ基準を使用して診断することが一般的です。

IBSのRomeⅣ診断基準

RomeⅣ基準では、直近3ヶ月間で、腹痛が1ヶ月に4日以上起こり、以下の項目の中で2項目以上に該当する、さらに6ヶ月以上にわたり症状が続いている場合は、過敏性腸症候群の疑いがあります。過敏性腸症候群は生活習慣の乱れが原因であることが多いため、改善には生活習慣の見直しを行うことが必要です。

  • 便性状が変わる
  • 排便頻度が変わる
  • 排便と症状に関係性がある

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは、大腸粘膜が何らかの原因によって炎症を起こすことで、腹痛や下痢、血便などの症状を引き起こす病気です。現在はっきりとした原因が解明されておらず、国から難病指定されています。一般的に若年層に多く見られる傾向があります。

主な症状は、腹痛や下痢、血便、発熱などで、症状が慢性化する特徴があります。

潰瘍性大腸炎は進行すると大腸がんの発症リスクを高めるため、潰瘍性大腸炎と診断された際には、継続的に治療を行うことが大切です。なお、大腸カメラ検査によって潰瘍性大腸炎と診断されると、国から治療費控除を受けることができます。

潰瘍性大腸炎

クローン病

クローン病とは、検査を行なっても特に問題が見つからないにもかかわらず、消化管の粘膜に炎症や潰瘍を引き起こす病気です。現在はっきりとした原因が解明されておらず、国から難病指定されています。

前述の潰瘍性大腸炎と症状が類似していますが、潰瘍性大腸炎の場合は炎症部が大腸内に限定される一方で、クローン病の場合は消化管全域に炎症が拡大するという特徴があります。そのため、クローン病の診断では、大腸カメラ検査のみならず胃カメラ検査を行うこともあります。

主な症状は腹痛や下痢などになりますが、その他にも発熱や倦怠感、体重減少などの症状を併発することもあります。稀なケースとしては血便を伴うこともあります。

気になる症状が現れた場合には、できるだけ早い段階で当院までご相談ください。

クローン病

大腸がん

大腸がんは、大腸粘膜ががん化した状態の病気です。一般的な症状は、突然の便秘や細い便などになりますが、中には下痢症状を引き起こすこともあります。

大腸がんは早期発見・早期治療によって完治することが可能な病気です。そのため、症状が現れていない段階から定期的に大腸カメラ検査を行なって、大腸の状態を把握しておくことが大切です。

下痢症状に対する検査

血液検査

下痢は、大腸以外にも膵臓や甲状腺などの病気が関与している場合もあるため、血液検査によって診断を行います。

超音波検査

膵臓の状態を確認する際には、血液検査以外にも腹部超音波検査を行うことがあります。

超音波検査

大腸カメラ検査

大腸カメラ検査は、極小の内視鏡スコープを肛門から挿入し、大腸内を直接観察する検査です。非常に精度の高い検査のため、大腸の状態を詳細に確認する際にはお勧めの検査です。

大腸カメラ検査

下痢の治療

下痢は一般的な症状のため自己判断で放置してしまいがちですが、中には重篤な病気の一症状として現れているケースもあるため、注意が必要です。病気が原因の場合には、大腸カメラ検査などを行なって病気を特定し、適切な治療を受ける必要があります。

主な治療法としては、軽度な下痢の場合は十分に水分補給を行なって脱水症状を起こさないようにケアすることが重要です。ただし、スポーツドリンクやジュースで水分補給を行うと、下痢症状が悪化する恐れもあるため、注意しましょう。

重度の下痢の場合は、点滴療法や薬物療法による治療を検討します。市販の下剤でも改善することがありますが、病状によっては症状の悪化を招くこともあるため、担当医の指示に従ってください。
その他では、生活習慣の改善も大切です。食事はおかゆなど消化に良いものを選択するようにし、身体を冷やさないように配慮するようにしましょう。